基本情報(Profile)
最終更新日(Last Updated)2026/02/24川戸 康平
Kohei Kawato
川戸 康平
2024/04
立命館大学(Ritsumeikan University)
経営学研究科(Business Administration)
| 経営戦略論、スマートシティ、まちづくり、自動車産業 |
博士課程後期・一貫(D)
研究紹介(About my Research)
研究課題名:持続可能な都市政策を推進するためのCSV 経営およびエコシステム論の応用
本研究は、地方自治体が持続可能な都市政策を推進するための自主財源確保に向けた方法として、現場で活用できる、理論を基盤としたフレームワークを提示することを目的としている。具体的には、CSV経営およびエコシステム論の観点から国内の事例研究を行い、CSV 経営では実際に都市政策の旗振り役となる地方自治体の立場から、どのようにCSV経営を実践できたのか、エコシステム論ではそうした地方自治体を中心としたエコシステム形成プロセスを明らかにする。
地方自治体の現状として、地方交付税の交付団体は減少傾向にあるものの交付額は増加傾向にあり、貧富格差が拡大している。また、2050 年までに消滅可能性自治体が全自治体の40%に上ることからも、地方自治体が行政サービスを維持することが課題となっている。こうした状況は、各自治体の努力だけでは打破することができない構造的問題が理由であると指摘されている。すなわち、地方自治体を含む継続的事業体の目的設定とその達成のための組織活動に関する知識体系である経営学が都市政策立案および実践の段階においてう まく活用されていないという問題があるため、前述した研究課題を設定している。
研究活動(Research Activities)
- 論文(Published Papers)
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2025/09/10 まちづくりにおけるエコシステムの形成プロセス:群馬県前橋市の事例 / The Process of Ecosystem Formation in Community Development: The Case of Maebashi City, Gunma Prefecture
立命館経営学, 64(3)概要はこちら(Description) 本研究では,生態系のエコシステムにあらゆる生物が存在するのと同様に,生態学の概念を源流とする経営学のエコシステム研究においても,特色の異なる主体が存在するエコシステムを対象とすることでエコシステム論の発展につながるのではないかという背景から,産官学民が協働してまちづくりを推進している群馬県前橋市を対象に,エコシステム論の観点から事例研究を行った。先行研究のレビューから,エコシステム論に関して,①概念規定やその適用範囲が曖昧であること,②エコシステムの発展段階に応じた動態的側面がほとんど扱われていないことが課題であることが明らかとなった。これらの課題にアプローチした椙山・高尾(2011)では,エコシステムは価値システムを頂点として,人工物,エージェントの集合体を規定すると主張されているが,まちづくりにおける官民連携の事例から,エージェントの集合体を先に形成し,その後人工物と価値システムを規定するパターンも存在することを指摘した。また,生態学のエコシステム・エンジニアという概念を用いたフレームワークを提示した江口・妹尾(2015)の課題として,エコシステム・エンジニア自身に変化を伴わない生成型のエコシステム形成プロセスは,激しい環境変化を伴う現代において外部環境からの影響が考慮されていないことを指摘した。事例の考察では,前橋市のまちづくりで重要と考えられる「前橋◯◯部」,「太陽の会」,「めぶく。プラットフォーム前橋」,「めぶくID」の取組を対象に,各取組でエコシステムが形成されていることを,椙山・高尾(2011)のエコシステムの定義に基づき明らかにし,それぞれのエコシステムが時系列で積み重なり,エコシステムが多階層化していることをソーシャル・キャピタルの概念を用いて説明した。また,各エコシステムの形成プロセスについては,椙山・高尾(2011)のエコシステム規定方法と江口・妹尾(2015)のエコシステム・エンジニアのためのフレームワークを批判的に援用し,エコシステム・エンジニアがエージェントの集合体を規定するとともに新たな価値を打ち出し,その後人工物の創造へと移っていくことを明らかにした。
2025/07/10 まちづくりにおけるCSV経営 / Creating Shared Value (CSV) Management in Community Development
立命館経営学, 64(2), 103-132概要はこちら(Description) 近年,日本の社会課題である人口減少,少子高齢化を背景として,持続可能なまちづくりが求められている。そこで本研究では,経営学におけるCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)がまちづくりの文脈で有用であること,まちづくりにおけるCSVが既存のCSVの概念を拡張することを明らかにするため,静岡県浜松市,千葉県柏市,福井県鯖江市,茨城県境町の4自治体の事例研究を行った。 先行研究におけるCSVの経済的価値と社会的価値の両立という考え方は,企業だけではなく,自治体や非営利組織にとっても重要とされているにもかかわらず,それらを主語とした議論は展開されていない。したがって,本研究では,自治体や非営利組織こそCSVの観点に基づき活動を行い,社会的価値のみならず経済的価値を生み出す必要があることを主張している。 事例研究の結果,規模や中心組織の特性,連携体制に関わらず,まちづくりにおけるCSVを実践するためには,あらゆるステークホルダーを巻き込むコアとなり,なおかつ中立的立場を取ることのできる自治体や非営利団体の存在が重要で,それらの組織が経済的価値の創出を見据えている必要があることが明らかとなった。
2025/03/20 EVの意味的価値の変化と限界 / Changes in and Limits to the Semantic Value of EVs
デザイン科学研究, 4(2), 209-224概要はこちら(Description) 2024 年にアゼルバイジャンで開催されたCOP29 では,「ゼロエミッションの乗用 車およびバンへの全面的な移行の加速に関するCOP26 宣言」に対して,さいたま 市が日本から初めて加盟を表明した。経済産業省は,乗用車について,2035 年まで にHV(ハイブリッド車),PHV(プラグインハイブリッド車),FCV(燃料電池自 動車),EV(電気自動車)を含む電動車の新車販売比率100% を実現するという目 標を掲げるなど,EV への注目は年々高まっている。 こうした背景もあり,消費者からのEV への注目も高まっているものの,自動車 業界や政府が期待するほど普及は進んでいない。EV の購入補助金を停止した欧州 主要31 カ国のデータでは,2024 年度8 月のEV 売上台数が前年度同月比で大きく 減少するなど,EV はその価格の高さも相まって,市場の中で選好されづらくなっ ている。 このような状況を克服するためには,従来の自動車とは異なった価値をどのよう に提供できるかが重要になる。そこで本稿では市場でエコカーという新たなジャン ルを確立したHV,そして本稿のテーマであるEV の国内での普及過程とそれに伴 う市場の変化を時系列で整理し,EV を中心とした次世代自動車の意味的価値変化 を検討した。考察では,EV が提供してきた意味的価値について,特に「持つとき めき」に関する検討を行い,「環境配慮」による「持つときめき」の価値が一時的 に高まっていたものの,長期的には従来のICEV(内燃機関車)と同様の価値基準 に収束することを示した。つまり,今日の次世代自動車が提供する価値は従来の自 動車と差別化を図れていない。 今後の展望として,EV の意味的価値の拡張と従来の自動車との差別化のために は,EV を単なる移動手段ではなく,多機能な空間として再定義するなど,新たな 視点で価値をデザインする必要性を示した。
2024/09/20 ダイナミック・ケイパビリティの再定義:先行研究の課題解決とSUBARUの戦略ストーリーを用いた考察
立命館経営学, 63(3), 51-83概要はこちら(Description) 本論文は,様々な定義が存在するダイナミック・ケイパビリティに関して,経営 戦略論の観点から再定義することを目的としている。入山(2019)は,先行研究を 踏まえてダイナミック・ケイパビリティを「急速に変化するビジネス環境の中で, 変化に対応するために内外の様々なリソースを組み合わせ直し続ける,企業固有の 能力・ルーティン」と総括しているが,Barreto(2010)が指摘したように研究者に よって異なる定義づけが行われている。ダイナミック・ケイパビリティの重要性は 認識されながらも,具体的にどのような能力であり,どのような状況で必要である かを理解されていないのが現状である。以上の課題を踏まえ,ダイナミック・ケイ パビリティを「長期的に競争力を維持するため,変化する環境に適合した戦略を策 定し,戦略に適合した資源を構成する能力」と再定義した。新たな定義について, 経営現場における実用性を検証するために,株式会社SUBARU を対象としてケー ススタディを行った。結果,既存のダイナミック・ケイパビリティの定義に基づく と,選択と集中戦略の奏功により長期的な競争優位を確立していたにもかかわらず, 長期的であるはずの競争優位が維持されなかったことが明らかとなった。新たな定 義を用いて考察すると,同社は変化する環境に適合した戦略を策定する能力を有し ていたが,戦略に適合した資源を構成する能力が十分ではなく,資源と戦略の不適 合が生じた結果,完成検査不正問題が発覚し,長期的な競争優位を「失わせた」の である。 今後の課題として,1) 一次資料に基づくケーススタディの深掘り,2) 新たなダ イナミック・ケイパビリティの定義について,再定義したダイナミック・ケイパビ リティを有している事例や,複数の異業種の事例を通じた実用性の検証,3) ステー クホルダーの影響の考慮が挙げられる。
2024/09/10 インクルーシブ・スマートシティ実現に向けた都市調査報告 大分県別府市の事例:障がい者の観点から / City Research Report on Realizing Inclusive Smart Cities : The Case of Beppu City, Oita Prefecture - From the Perspective of People with Disabilities
日本都市計画報告集, 23(2), 227-233概要はこちら(Description) Beppu City in Oita Prefecture is known as a comfortable city for people with disabilities to live in; however, few previous studies have clarified the specific factors. This study aims to clarify the characteristics of Beppu City by focusing on the perspective of people with disabilities and using the Well-Being Indicator and survey results of an original questionnaire based on this index. Analysis of the Well-Being Indicator revealed that while Beppu City has strengths in the aspects of the natural environment, urban environment, and medical care and welfare, there are challenges in terms of mobility and transportation, digital technology, employment and income, and business creation. In addition, a comparative analysis of the Well-Being Indicator between people without disabilities and people with disabilities revealed that it is important not only for the tangible aspects that are woven by specific corporations and companies, but also for the intangible aspects that make the most of them.
- 講演・口頭発表等(Lecture/Oral Presentation)
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2024/11/01-2024/11/03 インクルーシブ・スマートシティ実現に向けた調査報告−大分県別府市の事例:障がい者の観点から−, 川戸康平 / Kawato Kohei, 都市計画報告会 / 北九州国際会議場 概要はこちら(Description) 大分県別府市は、障がい者が暮らしやすい街として知られているが、具体的要因を明らかにした先行研究はほとんどない。したがって本研究では、別府市を対象に障がい者の観点に着目し、地域幸福度(Well-Being)指標および同指標のアンケート設問票に基づく独自アンケートから特徴を明らかにすることを目的とする。Well-Being指標の分析から、別府市は自然環境、都市環境、医療・福祉の側面で強みを持つ一方で、移動・交通、デジタル、雇用・所得や事業創造の側面に課題があることが明らかとなった。また、障がいのない人と障がい者のWell-Being指標の比較分析では、特定の法人等が織りなすハード面だけではなく、それを最大限に活かすソフト面のまちづくりも重要であることが明らかとなった。
2022/12/21 Challenges to Automaker’s Competitivity in the Era of Electric Vehicle: Comparison among Japan, China, and the United States, 川戸康平 / Kawato Kohei, AJI International Graduate Studies Seminar Asia-Japan Research Institute, Ritsumeikan University, Online 2022/11/11 Case Study of MaaS in a Japanese Local City: Otsu City, Shiga, Kawato Kohei, Nakatani Yuuki, Tokuda Akio, IEEE World Forum on Internet of Things 2022 Institute of Electrical and Electronics Engineers, Online 2022/09/21 なぜ日本の自動車産業はEV 化に出遅れたのか?―テスラと日産の経営戦略比較―, 川戸康平 / Kawato Kohei, 立命館大学分野横断型セミナー 立命館大学アジア・日本研究所, オンライン
- 職歴(Career Background)
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2018/04/01-2022/03/31 オリックス自動車株式会社, リース営業本部
- 学位(Degree)
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経営学修士 立命館大学